相続税のポイント(7日間で見えてくる相続の本質と全体像 6日目)

今日は、いよいよ【相続税】について解説していきます。
今回も、長くなってしまいましたが、相続税の基本的考えから、節税パターンまで、
幅広く記事にしていますので、是非ご覧ください。

本日は、『相続税』について。

『相続税』については、かかる人とかからない人がいるのですが、
実は、平成27年1月1日より相続税の改正がありまして、以前よりも
相続税の対象にとなる人が増える形となりました。

その大きな理由の一つが、相続税の『基礎控除額』の引き下げです。
具体的には下記のようにかわりました。

■改正前の控除額  基礎控除5,000万円 相続人1人につき1,000万円

■改正後の控除額  基礎控除3,000万円 相続人1人につき600万円

その為、相続人が2人の場合

■改正前の控除額  7,000万円(基礎控除5,000万円+1,000万円×2人)

■改正後の控除額  4,200万円(基礎控除3,000万円+600万円×2人)

亡くなった方の財産が、この基礎控除額を超える場合は相続税の課税対象者となるわけです。
ご自身の自宅不動産と預貯金、有価証券などの財産を合計してみると、改正前では基礎控除額の範囲内で
相続税は無関係だった方も、改正後では「もしかしたら自分も課税対象者?」と感じる事になるかもしれません。

国税庁によると相続税の改正前の課税割合は、首都圏では7%程度と言われています。
つまり100人の方が亡くなった場合に相続税の課税対象となるが7人程度になるという事です。
この課税割合が改正後の相続では14%、都市部では20%を超える程度になると予想されています。

控除額が減ったことで、課税対象者が増えたのはもちろんですが、
相続税額も以前よりも増えることとなります。

その為、ますます『相続税』については様々な施策を練らなければ、
いけない時代になったとも言えます。

では、『相続税の節税方法』というとどのようなものがあるかというと。
まず考えなければならないのは、これです。

2次相続をまでを考えた相続対策であること。

2次相続とは、そもそもどのようなことを指すのかというと。

【1次相続】夫婦のどちらかが最初に亡くなった時
【2次相続】もし、最初にご主人が亡くなったのであれば、次に奥様が亡くなった時

実は、相続対策で大切なことは、『2次相続』まできちんと考えているかどうか。
目の前の相続対策だけを考えていると、足元をすくわれてしまうことがあります。

なぜ、ここまで言い切るかと言うと、夫婦でいるときと、1人になった時では、税制の優遇が全く異なるのです。

どのようなことかと言うと。
夫婦でいるときは、配偶者控除という大きな控除枠があるのです。

具体的には、(1) 1億6千万円 (2) 配偶者の法定相続分相当額
配偶者が取得した遺産額が、(1)(2)の金額のどちらか多い金額までは
配偶者に相続税はかからないという制度です。

詳しくは、こちら

法定相続分とは、配偶者であれば、最低2分の1はありますので、
簡単にいうと、資産の半分は相続税がかかりません。ということです。

これは、非常に大きい優遇措置です。

例えば、夫婦 子供2人 父の相続資産が2億円の場合

父が亡くなり1次相続が発生した場合、配偶者控除で1億円は控除できるので、
それだけでもかなり節税ができると思います。

しかし、実は、この1次相続時の対応で、2次相続にかかる相続税が大きく
変わることがあるのです。

先ほどのケースで、具体的な事例で説明します。

(1)相続時に母親へ1億円、子供2人に、残りを均等に財産を分けた場合
(2)相続時に母親へ全て財産を移してしまった場合

(1)の場合であれば、母親が引く継いだ財産が1億円ですので、1億円の資産に対して相続税を算出していくようになります。
(2)の場合は、1次相続時には、配偶者控除を使うことが出来ましたが、2次相続が起きた時には、配偶者控除を使うことが出来ませんので、
2億円の資産に対して相続税を算出していくようになります。

相続は、累進課税ですので、金額が大きければ大きいほど、税率は高くなります。

その為、相続税の節税をしたいということであれば、
1次相続の時に、2次相続を想定して子供に財産を分けて相続をすることがポイントとになります。
しかし、実際の相続の現場では、こうした知識が広まっていない為、
1次相続時で、母親に全ての相続資産を移すといった対応をとる事が、意外と多いようです。

その理由は、資産の分割をするのは、兄弟同士のトラブルにもつながる可能性がありますし、
手間もかかります。そうすると、どうしても問題を先送りにしたいという気持もあるのかもしれません。
しかし1次相続時までにその準備が出来ていれば、2次相続には大きなトラブル
なく節税効果も高い良い形で相続が出来るようになります。

その他、節税におけるポイントを下記に簡単にお伝えします。

①不動産による節税方法

不動産を利用して評価を下げる方法。
(評価の仕方を変える。建てる。買う。分筆する。買いかえる。)
節税効果も高く収益UPも狙うことができるがリスクが高いものもあるので注意

②生命保険を活用した節税方法

相続人1人あたり500万円の非課税効果がある。
税法と民法の違いを理解すること。保険の契約形態を理解すること。
これらを理解した上で加入すれば、リスクなく非課税金額分節税を受けることが出来る。
また、生命保険の活用を理解することは、節税の他に納税対策・相続争いを防ぐ分割対策
にも繋がります。※保険の種類は終身保険に入ること。

③生前贈与を活用した節税方法

(1)住宅取得資金贈与の特例による 非課税枠 最大1200万円
(2)夫婦間贈与の特例による    非課税枠   2000万円
(3)110万円の基礎控除による  非課税枠    110万円(毎年)
(4)教育資金の一括贈与制度    非課税枠  1,500万円
一般的には、贈与税は、相続税よりも高いのですが、こうした控除枠を上手に活用することで、
節税をすることが出来るようなります。
但し、これらの特例は、様々な制限があります。もしその内容に適さない場合は、非課税が受けられず
贈与税が発生してしまう場合があります。

④養子縁組

(1)相続税の基礎控除額が増える 相続人が1人増えると、基礎控除額が1人分増えます。
(2)相続税の税率が下がる場合も。相続人が増えると、 相続人1人あたりの受け取り金額
が少なくなる為、 税率の区分が変わって税金が安くなることがあります。
(3)生命保険の非課税枠が増える。相続人が1人増えると、非課税金が500万円増える。
但し(税法上)・・・
・亡くなった人に実の子供がいる場合、この場合の法定相続人の数に含められる養子の数は一人まで
・亡くなった人に実の子供がいない場合、この場合の法定相続人の数に含められる養子の数は全部で二人まで

⑤事業者(中小企業)向けの節税方法

(1)新会社を作って相続税対策をする方法
後継者となる方が新会社を設立し、 収益の高い事業を新会社で行うことで、 もとの会社の評価額を減少させる。
(2)持株会発足による相続税対策
従業員へ株を少しずつ譲渡することで、 株の評価を『純資産価格方式』から『配当還元方式』という計算式で
評価することが出来るようになります。「純資産価額方式」より「配当還元方式」のほうが、 株は低く評価
される為、節税を見込むことが出来ます。
但し、後継者との関係や、従業員との関係性によって方法は異なり、慎重にならなければなりません。
細やかな規約等を作成し、様々なケースにでも対応出来るような準備をする必要があります。

⑥お金を使う。

資産は減りますが、節税という意味では支払う税金も減ります。
リフォームや、外壁塗装などの将来的にやらなければならないことがあれば、生前時に行うことも
相続税対策となります。


節税の方法は、実はたくさんの方法があります。
代表的なものを上げていきましたが、その人の資産背景や考え方によりその方法は大きく変わっていきます。
その為、相続対策のスタートは、自身の資産背景をきちんと理解することからスタートして下さい。

その上で、自分はどのような対策が出来るかを考える必要があるのです。

しかし、重要なポイントがあります。

『相続税対策』と『争続(相続争い)対策』は、必ずしも同じ方向を向きません。
『相続税対策』にはなるけど、これをやると相続争いが起こるかもしれない。
『争続(相続争い)対策』にはなるけど、これをやると相続税対策にならない。
といったことが、起こります。
もし、そうした場合には、相続税対策ではなく、争続(相続争い)対策を選ぶことをおすすめします。

とはいえ、中々その判断が出来ないこともあると思います。

相続対策の流れとは、資産背景・相続人を明確化して、問題箇所を浮きぼりにし、
『何を』『どこまで』『どうやって』行うのかを考えそして『実行』することです。

その為、これらを実際に実行に移すためには、『専門家』を選ぶことが非常に重要になるのです。
その専門家の選び間違いをすると残念がら相続はうまくいかないかもしれません。

ここまで、しっかり読んで頂いた方で、感が良い方であればお分かりかもしれません。

簡単に言うと、『1つの専門知識』だけでは、相続は対応出来ないということです。

『税法』『民法』『不動産実務』『不動産評価』『生命保険』『事業承継』などの幅広い知識そして、

『相続に対する考え方』が、あなたと合うかどうか。

今日は、相続税にまつわる節税方法について解説しました。
様々な節税方法があることに驚かれたのではないでしょうか?
しかし、リスクがある場合もある為、両方をバランスよく取り入れることが必要ですね。
※ここで、解説したのはあくまで概略となりますので、実行に移す際には必ず専門家へご相談下さい。

次回の最後は、『専門家の選び方』について解説します。

今まで学んで頂いた、相続の基本知識があるからこそ理解出来る内容だと思います。
また、相続の基礎知識があるからこそ『専門家』を上手に使うことが出来るのです。

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