「〈銀の匙〉の国語授業」を読んで(今日の1冊)


〈銀の匙〉の国語授業 橋本武(著)

今日の1冊は、〈銀の匙〉の国語授業
橋本武先生という方が、書いた本。
この方は、【灘中学校の国語の先生】で、昭和9年に学校に赴任し
昭和59年の71歳で教壇に立っていた人です。

灘中というと、日本を代表とする学校で、
優秀な生徒が集まる学校。

というイメージがありますが。
実際のところどんな授業が行われているのか。
興味を持ったので読んでみました。

灘校では、授業の内容のほとんどを教師に一任しているそうです。
それによって、橋本先生は、独自の国語の授業を展開することになります。

その成果が、すごいんです。
この授業を受けた最初の生徒たちは、6年後の春には東京大学に15人合格
その6年後には東京大学に39名・京都大学に52名合格(1962年・新制14回生)
また更に6年後には132名が東京大学に合格し、東京都立日比谷高等学校を抜いて東大合格者数全国一位となる(1968年・新制20回生)。
その後も6年おきに120名(1974年)、131名(1980年)が東大に合格という快挙を成し遂げる。

橋本先生は、決して東大を目指すことが目的ではなく、
「学ぶことと、遊ぶことの垣根をなくす」ことに情熱を傾け
その成果の一つに東大合格者が増えたということに過ぎないということです。

では、どんな授業をしたのかというと、
「銀の匙」という小説を中学3年間を通して、
読み解いていくという授業です。

「1つの小説を、なんと3年間かけるんです!」

『銀の匙』とは、夏目漱石が激賞したほど日本語が美しく、明治期の日本を緻密に描いている
ことで、時代や風俗考証しやすく、各章が短いことで授業でとりあつかいやすい。
散文的にかかれているので、「寄り道」しやすい。
ということで、選んだそうです。

一言で言うなら
「スローリーディング」

今は、出来るだけ本を早く読むことばかり注目されていますが。
全くの真逆です。
「速読」じゃなくて「遅読」でしょうか(笑)

でも、この「スローリーディング」
個人的には、すご~くいいな~!と思います。

なぜなら、今は、早く読むことばかりがもてはやされていますが。
それは、本当にその中身を理解して読んでいるのか?

ということです。
表層だけでなく「深く」読みっているのでしょうか?

「本」はただ読んでいるだけでは、意味がない。
ということが、この本を読んで本当に身に沁みました。

では、具体的にどのように本を読んでいるかというと。

まず「語句」の理解について。
私もそうですが。

本を読んでいて、なんとなくその語句を勝手に解釈して、
あいまいにしながら次の文章に進むことはないでしょうか?

そうではなく、少しでもあいまいな語句があれば、きちんと一つ一つ
調べてその語句の理解をしていくこと。

そして、その語句を自分なりにどのように使えるか考える。
例えば、「とりたてて」という語句がある。

「とりたてて」の意味は、
~他の物とちがった特別の物として取り上げる~

この「とりたてて」を「銀の匙」では。
~なにも「とりたてて」美しいのではないけれど~
と、書いてある。

これを、自分なりの文章で考えるとすると。
~そんな話は、「とりたてて」問題にすることはない~
というような文章を実際に作ってみる。

このように、「語句」の理解をして、実際に自分なりに、その「語句」を
使わせるような授業を行います。

そしてそれぞれの段落の毎に、「内容の整理」を行い要点を見つける。
その要点をもとに、その段落の「要約」を200字で、まとめる。

普段使わない「語句」が多く、一つ一つ文字を拾っていくと、
一行の文章の中でも、すごいボリュームになります。

さらに授業の大きな特色・ポイントは「横道にそれる」こと。
横道にそれるって?
って感じですが。

それこそが、橋本先生の真骨頂!
「銀の匙」の語句や文章から、どんどん違う話に、繋がって
様々な話が展開される。

そのことで、生徒たちは、そのことを自ら調べたり深く考え、
新たに表現する力をつけていく。

例えば、
「遊ぶ」と「学ぶ」という言葉があれば、それに対して共通するものを答えさせる。

・どちらも「ぶ」がつく
・どちらも三文字
などの答えが出てくる。

そしたら、「ぶ」をとったら?
「あそ」と「まな」

「あそ」ってなんだろう?

山の名前がある。熊本にある阿蘇
内海の海の名前にも、阿蘇

山にも海にも「阿蘇」という名前がある。
面白いね~と。

こんな感じで、どんどん横道にそれていく。
こんなことをいちいちやっていたら、まったく先に進まないだろうと
思うのですが・・・

あ!だから、一つの小説を3年かけてやるんですね。(^^;

とことん、その小説の内容を深く深くこれでもかというぐらい、
深く読み取っていくということです。

きっと、この授業の中で、深く読み取る「力」をつけながら、
深く読み取ることはすごく楽しいんだ!
ということを体感させているのだと思います。

以前、ブログの中で、
「AⅠvs教科書が読めない子供達」を読んで

について記事にしましたが。
その中で、必要な力を「読解力」と書かれていましたが。

まさに、その「読解力」をつける鍵が、スローリーディングであり、
より深くその本を読み取ることだと思いました。

実際に、私もこうした本の読み方は、非常に良いやり方だなと思います。
私の本の読み方は、三年前にある本にはまってから、だんだんと確立していきました。
その本が、「嫌われる勇気」という本です。

その本を読んだことで、私の考え方に大きな軸ができたと思います。
しかし、軸が出来た理由は、「本を読んだ」ということもありますが、
ただ、「本を読んだ」ということであれば、そこまではいかなかったと思います。

では、どうして自分の軸になるほどの影響力をもつことが出来たのか。
というと。

それは、「読み方」だったのではないかなと。
今思うと、感じます。

それは、その本を読んだとき、
私の中で直感でこの本は「面白い」と感じました。

しかし、1回読んだだけで、本当の理解が出来たかというと、
本当に理解したとは、思いませんでした。

なので、その後どうしたかというと。
その本の内容の一つの一つの言葉を抜き取り言葉を整理しました。
そして、その抜き出した言葉から、自分が腑に落としたい部分を
要約して、書き出すということをしました。

正直、かなり時間をかけたと思います。
別に、誰かに提出するわけでも、こうしてブログに書くわけでもなかったの
ですが、ただひたすらに、「これってどういうことだろう?」
「こうした時は、どうしたらいいのだろう?」
「この段落と、この段落の意味のつながりは、なんだろうか?」

などを、とにかく気になったところを、一つ一つ書き出し整理し
自分の言葉で要約する。

これを繰り返しました。
また、本の内容を知り合いの人に、紹介することも意識的にしました。
すると、どんどん自分の中でその理解が深まっていくんですね。
まさに「スローリーディング」です。

私の、思考の軸は、「アドラー心理学」と「アクティブブレイン」です。
自己啓発的な本や小説などを読むときには、必ずこの軸となる考え方に
照らし合わせて読むようにしています。

ここで言っていることは、
アドラー心理学で言うこういうことだな~。とか。
アクティブブレインで言っている。こういうことだな~とか。

そんな感じで、必ず根っこにある知識と結びつけながら、
その意味をとらえるようにしています。

そうすると、結果的にその本の意味を深くとらえることが出来、
かつ、アドラーやアクティブで伝えている意味をより深く理解することに
繋がるのです。

橋本先生が行っている「スローリーディング」は、まさに。
そうした、一つのテーマを軸としながらも。

様々な内容に横道をそれながら、枝葉の知識をどんどんくっつけていく。
それによって、結果的に軸となる部分の理解がより深く理解されていくことに
繋がっているんだろうな~と思いました。

そして、そうすることが。
実際に、東大生を沢山生み出したように。
結果的に「読解力」が、養われていくのだと思います。

「AⅠvs教科書が読めない子供達」の本とは、一見関連がないように感じますが。

是非この書籍とともに、読み込んでもらえると新たな発見をするのではないのかな。
と思います。

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